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中世ヨーロッパ史に関する個人的覚書
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4回目の講義でした。

グリム童話に登場する各要素についての話でした。
動物の場合、「なぜ、その動物なのか?」を掘り進めて考えることで、その童話(の元になった民話)がどのような背景だったのかが見えてくると言う内容です。

・かえる:
伝説や民話ではしばしば出産や子供にまつわる存在として登場する。
→卵をいっぱい生むから

・あめふらし:
ドイツは北の一部を覗いてほぼ内陸国なのに、何故あめふらし?
あめふらしをドイツ語でMeerhaeschen(海うさぎ)と表現することがあるそうです。
そしてドイツのある地方の方言では「小さい」の意味としてMeerと言うそうです。
もしもその地方の民話が元になっていたとしたら、Meerhaeschenは「小さなうさぎ=モルモット」と解釈することが可能で、実はこの物語は「あめふらし」ではなく「モルモット」だったのかも知れないそうです。
確かに、あめふらしを王女様が気に入ったり、王女様の髪の毛に忍び込んだりと、「えー? あめふらしが?」と思ってしまうような場面が目立ちますが、これがあめふらしではなくモルモットだとすると、非常にスムーズな物語になるような気がします。
真相はどうなのでしょうか。

・猫:
猫は童話に登場すると悪戯者でずる賢い反面、人間に対しては忠義深く、長靴をはいた猫のように若者の出世を助けてくれるような面があります。
エジプトあたりでは猫の神様が祀られてたり、この辺りのミステリアスな雰囲気も手伝っているようです。(日本にも招き猫がいますね)
また、魔女狩りで猫も随分殺されたようですが、何故猫が魔女の手下にされたのかははっきりとした理由は判っていないようです。
ただ、イタリアやブルガリアあたりでは「猫は8回蘇る」という迷信もあり(恐らく似た猫が多い地域なのではないでしょうか。だとしたら「死んだはずの猫が歩いてる」と思われた事は容易に想像できます)、この辺りから「悪魔の使い」に変貌した可能性もありそうですね。

また、グリム童話のタイトルを眺めると、数字の入ったタイトルが数多くあります。

・狼と七匹の子山羊
・十二人兄弟
・森の中の三人一寸法師(これは岩波書店版が出典のようですが、こびとと解釈するのが正しいと思います)
・糸くり三人女
・三枚の蛇の葉
・七羽のからす
・三色の言葉

他にも色々ありますが、圧倒的に三,七,十二が多く登場します。
三は昔から均整のとれた小さな数として扱われているため。
十二はキリストの弟子の数が縁起の良い数とされているそうです。
順当に考えれば、七は天地創造でしょうか。
いずれにせよ、これらの数字が読み手に与える心理的影響力は無視できるものではなく、グリム兄弟はこれらをかなり意識してグリム童話を編集していたようです。
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凪茶(ニャギ茶)
性別:
男性
職業:
くたばり損ないの猫
趣味:
ドイツとイギリス
自己紹介:
ドイツ・イギリスを中心に中世ヨーロッパの生活習慣、民俗学などを勉強しています。
最近はブリュ物語の翻訳ばかりやってます。
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