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中世ヨーロッパ史に関する個人的覚書
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ちょいと私事がゴタついて滞ってます。
今回、文章もあまりうまくまとめてないのですが、記憶が薄れてしまう前にアップだけしときます。
そのうち読みやすく整理したいと思います。
――――
講義6回目、今回で一応終了です。
……と思ったら、後期が9月から始まるようですね。
まだ楽しみが続きそうです。
森に関するお話。
現在のドイツの森林面積は29.3%ほど、その大半は針葉樹林だそうです。
しかし童話などに出てくる物語のイメージでは、ぐにゃぐにゃと曲がりくねった、いわゆる針葉樹ではない広葉樹が多い気がします。
また次のような「ドイツ人の好む三大樹木」というものがあるそうで、オークはその筆頭だそうです。
①オーク(ブナ科、ミズナラ、勇気、健康、豊作、などの象徴、雷神の木)
②菩提樹(セイヨウボダイジュ、東洋の菩提樹とは別物)
③もみの木(ドイツトウヒ)
では、これらの広葉樹はどこにいったのでしょうか?
どうやら、森林伐採をやりすぎた結果、森林面積が最盛期の1/3にまで減ってしまったそうで、あとから植林したものが針葉樹だということです。
タキトゥス(西暦100年頃)のゲルマニアによれば、ゲルマンの地を旅した時の様子に「60日間歩いても森が続く」と言う表現があるそうです。
1日10km歩いたとしても、600km以上の森林があるわけで、古代ドイツが如何に森の国であったかが窺い知れます。
森林伐採は中世時代から近代にかけて継続的に行われていたようで、その主な用途は燃料でした。
泥炭などがまだ使われていなかった時代は、薪はほとんど唯一のエネルギー源だったようです。
また、中世時代には森はもちろん未知の世界でしたが、豚の放牧地として使われていたようです。豚の餌としてドングリなどの木の実を食べさせていたわけです。
グリム童話においても、森は非常に頻繁に物語の舞台となっています。
有名なヘンゼルとグレーテルも飢饉で家を追われた兄妹が森の中で魔女の家に迷い込み、魔女を撃退して無事に家に帰る話です。
またハリネズミのハンスも呪いによってハリネズミのような外見で生まれたハンスが家を追われ、森の中で豚を増やして街に戻り、お姫様と結婚する話です。
赤ずきんも森の中が舞台で、ここでは「おばあさんが森の中で一人で住んでいる=姥捨て森?」のような背景が見受けられ、当時の森と人間との関わりかたを推測できます。
グリム・ドイツ伝説集でも森の話は非常に多く、特に、「殺されるべき運命の子供が森で生き延びて、成長して復権する」という話が目立ちます。
これらから、森の中には何か人知の及ばぬ、あるいは神聖な力があると考えられていたことが推測されます。
ところで、先ほどのヘンゼルとグレーテルですが、「ヘンゼル(Hansel)」や「グレーテル(Gretel)」の最後の二文字「el」は日本語で言うところの「~ちゃん」に相当するそうです。つまりヘンゼルとは「ハンスちゃん」と言う意味です。
これを踏まえて「ヘンゼルとグレーテル」および「ハリネズミのハンス」を見ると、
①家を追われたハンスちゃんが
②森に行き、
③森の中で財産(魔女の宝、あるいは増やした豚)を得て、
④街に戻る
と言う構造が一致していることが分かります。
もしかしたら、この二つの話は原典が近いのかも知れません。
もっとも、「ハリネズミのハンス」は、ハンスの純粋なサクセスストーリーなのに対し、「ヘンゼルとグレーテル」は泣き虫だったグレーテルが魔女との戦いを通してガラリと成長しており、話の構成がかなり複雑です。「森の中における女性の変化」なる要素も見え隠れしているようです。
後者は別々の物語を組合わせたものなのかも知れません。
――――
中世ドイツの森に関しては、まだまだ分からないことが多く、調べる余地が大いに有りそうです。
タキトゥスの時代、ドイツの多くの地域が森林であったことを考えると、古代から中世にかけて、つまりキリスト教の席捲にあわせて凄まじい勢いで森林が伐採されたわけで、14世紀初頭はその真っ只中といったところです。
同時に、この頃に東欧への植民が盛んに行われていたことから、森林伐採は南西から始まり、東へ東へと進められたと考えることができます。
今回、文章もあまりうまくまとめてないのですが、記憶が薄れてしまう前にアップだけしときます。
そのうち読みやすく整理したいと思います。
――――
講義6回目、今回で一応終了です。
……と思ったら、後期が9月から始まるようですね。
まだ楽しみが続きそうです。
森に関するお話。
現在のドイツの森林面積は29.3%ほど、その大半は針葉樹林だそうです。
しかし童話などに出てくる物語のイメージでは、ぐにゃぐにゃと曲がりくねった、いわゆる針葉樹ではない広葉樹が多い気がします。
また次のような「ドイツ人の好む三大樹木」というものがあるそうで、オークはその筆頭だそうです。
①オーク(ブナ科、ミズナラ、勇気、健康、豊作、などの象徴、雷神の木)
②菩提樹(セイヨウボダイジュ、東洋の菩提樹とは別物)
③もみの木(ドイツトウヒ)
では、これらの広葉樹はどこにいったのでしょうか?
どうやら、森林伐採をやりすぎた結果、森林面積が最盛期の1/3にまで減ってしまったそうで、あとから植林したものが針葉樹だということです。
タキトゥス(西暦100年頃)のゲルマニアによれば、ゲルマンの地を旅した時の様子に「60日間歩いても森が続く」と言う表現があるそうです。
1日10km歩いたとしても、600km以上の森林があるわけで、古代ドイツが如何に森の国であったかが窺い知れます。
森林伐採は中世時代から近代にかけて継続的に行われていたようで、その主な用途は燃料でした。
泥炭などがまだ使われていなかった時代は、薪はほとんど唯一のエネルギー源だったようです。
また、中世時代には森はもちろん未知の世界でしたが、豚の放牧地として使われていたようです。豚の餌としてドングリなどの木の実を食べさせていたわけです。
グリム童話においても、森は非常に頻繁に物語の舞台となっています。
有名なヘンゼルとグレーテルも飢饉で家を追われた兄妹が森の中で魔女の家に迷い込み、魔女を撃退して無事に家に帰る話です。
またハリネズミのハンスも呪いによってハリネズミのような外見で生まれたハンスが家を追われ、森の中で豚を増やして街に戻り、お姫様と結婚する話です。
赤ずきんも森の中が舞台で、ここでは「おばあさんが森の中で一人で住んでいる=姥捨て森?」のような背景が見受けられ、当時の森と人間との関わりかたを推測できます。
グリム・ドイツ伝説集でも森の話は非常に多く、特に、「殺されるべき運命の子供が森で生き延びて、成長して復権する」という話が目立ちます。
これらから、森の中には何か人知の及ばぬ、あるいは神聖な力があると考えられていたことが推測されます。
ところで、先ほどのヘンゼルとグレーテルですが、「ヘンゼル(Hansel)」や「グレーテル(Gretel)」の最後の二文字「el」は日本語で言うところの「~ちゃん」に相当するそうです。つまりヘンゼルとは「ハンスちゃん」と言う意味です。
これを踏まえて「ヘンゼルとグレーテル」および「ハリネズミのハンス」を見ると、
①家を追われたハンスちゃんが
②森に行き、
③森の中で財産(魔女の宝、あるいは増やした豚)を得て、
④街に戻る
と言う構造が一致していることが分かります。
もしかしたら、この二つの話は原典が近いのかも知れません。
もっとも、「ハリネズミのハンス」は、ハンスの純粋なサクセスストーリーなのに対し、「ヘンゼルとグレーテル」は泣き虫だったグレーテルが魔女との戦いを通してガラリと成長しており、話の構成がかなり複雑です。「森の中における女性の変化」なる要素も見え隠れしているようです。
後者は別々の物語を組合わせたものなのかも知れません。
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中世ドイツの森に関しては、まだまだ分からないことが多く、調べる余地が大いに有りそうです。
タキトゥスの時代、ドイツの多くの地域が森林であったことを考えると、古代から中世にかけて、つまりキリスト教の席捲にあわせて凄まじい勢いで森林が伐採されたわけで、14世紀初頭はその真っ只中といったところです。
同時に、この頃に東欧への植民が盛んに行われていたことから、森林伐採は南西から始まり、東へ東へと進められたと考えることができます。
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プロフィール
HN:
凪茶(ニャギ茶)
性別:
男性
職業:
くたばり損ないの猫
趣味:
ドイツとイギリス
自己紹介:
ドイツ・イギリスを中心に中世ヨーロッパの生活習慣、民俗学などを勉強しています。
最近はブリュ物語の翻訳ばかりやってます。
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