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中世ヨーロッパ史に関する個人的覚書
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ツイッターに投稿したあらすじのまとめです。
読みや内容について後になってから判明したものなど、ツイート時より少々変更が加えてあります。
なお、番号は英文におけるパートで、全体で120パートで構成されています。
ここではパート61~120を紹介します
読みや内容について後になってから判明したものなど、ツイート時より少々変更が加えてあります。
なお、番号は英文におけるパートで、全体で120パートで構成されています。
ここではパート61~120を紹介します
◆61-65 アーサー王とグェネヴァー/円卓の騎士/フランスへ
◆66-70 フランス征服
◆71-75 アーサー王の饗宴
◆76-80 戴冠式
◆81-85 ローマ帝国の挑戦
◆86-90 戦いの始まり/モルドレッド
◆91-95 アーサー王と巨人
◆96-100 三人の使者
◆101-105 ペレデュール
◆106-110 スイソン谷の戦い
◆111-115 皇帝ルシウスの最後
◆116-120 モルドレッドの乱/アヴァロン
◆66-70 フランス征服
◆71-75 アーサー王の饗宴
◆76-80 戴冠式
◆81-85 ローマ帝国の挑戦
◆86-90 戦いの始まり/モルドレッド
◆91-95 アーサー王と巨人
◆96-100 三人の使者
◆101-105 ペレデュール
◆106-110 スイソン谷の戦い
◆111-115 皇帝ルシウスの最後
◆116-120 モルドレッドの乱/アヴァロン
◆61-65
王国に平穏を取り戻したアーサーは、グウェネヴァーという名の乙女を妻に娶りました。 カドールに育てられたこの娘はローマの血統に連なり、可憐で美しく、気高い貴婦人でした。 アーサーは彼女をこよなく愛しましたが、二人の間には子供は生まれませんでした。 |
冬が過ぎると、アーサーは直ちに船を用意し、アイルランドへと乗り込みます。 ギロマーはアーサーに戦いを挑みますが、弓や投石器を知らないアイルランド人に勝ち目はありません。 捕らえられたギロマーは、アーサーに貢物を約束して、彼の臣下となったのでした。 |
アーサーの快進撃は続きます。 彼は勢いに乗って、同じようにアイスランドも従属させました。 オークニー諸島のゴンフェル王、イェータランドのドルダマー王、フィンランドのロマレック王は、アーサーの様子を見るためスパイを送ります。 |
報告を聞いた彼らは、とても勝ち目はないと考えました。 国を奪われるより、アーサーに忠誠を誓ったほうが良い。そう思ったのです。 彼らは自らアーサーの元に赴き、臣下となりました。 そして、アーサーは喜びの声の中でイングランドに凱旋しました。 |
それから、平和のうちに一二年の時が過ぎました。 アーサーは数々の礼儀作法を制定して、彼の宮廷はローマ皇帝すらも及ばないほどに気高いものとなっていました。 アーサーは仲間たちに番号を振り、王宮に円卓を用意しました。 |
この円卓には上下の区別がなく、誰もが同じものを食べ、等しく扱われるのです。 円卓にはブリテン人、フランス人、ノルマン人、アンジュー人、フランドル人、ブルグント人、そしてロレーヌ人が集まりました。 無作法な人間は、ここに留まることが出来ませんでした。 |
アーサーは、富めるものにも持たざるものにも、等しく愛されました。 ただ、世界中の他の国の王たちだけは、彼を妬みと恐れの目で見ていました。 そのうちアーサーが攻めてくるのではないかと、怯えていたのです。 |
アーサーと仲間たちは相談し、勇気と騎士道をもってフランスに挑むことを決めていました。 その前にアーサーはノルウェーへと乗り込みました。 ノルウェー王シェルムは死ぬ間際に、リヨン王ロットに王権を相続させていたのです。 |
ノルウェー人は余所者を嫌がり、リダルフを王に立てました。 アーサー王はロットを助けてリダルフを倒しますが、この戦いでガウェインが活躍しました。 盟友ワヴェインとともに騎士の叙勲を受けたガウェインは、奢ることのない素晴らしい騎士になっていました。 |
ノルウェー陥落を見たデンマーク王アシルはアーサーと和平を結び、平和のうちに臣下となりました。 いよいよアーサーは軍隊を率いてフランスへと乗り込みます。 瞬く間にフランドルおよびブローニュ周辺がアーサーのものとなりました。 |
アーサーは征服した土地での略奪行為を禁じていました。 自分の物となった土地を荒らしても、なんの得にもならないからです。 兵士には略奪も盗みもさせず、衣服や食べ物は市場で買うようにと厳命しました。 |
◆66-70
フランスは当時ガリアと呼ばれており、ローマに従属していました。 その護民官であるフロロはアーサーに戦いを挑みます。 しかし、フロロより多くの軍勢を率いるアーサーには勝てません。 その勇敢さを目にしたフランス人は、次第にアーサーを王と認め始めました。 |
フロロはパリに篭もり籠城戦に転じます。 街の壁は厚く、攻防は一ヶ月以上も続きました。 しかし、補給を受けることの出来ないパリは食べ物が不足してきたのです。 人々の不満は高まります。こんなことならば、アーサーの平和的な統治を受け入れたほうがましだと。 |
これ以上の損失を恐れたフロロは一騎打ちを申し入れ、アーサーは受けました。 篭手が交換され、保証のための人質がお互いに預けられます。 翌日、人々が神に祈りながら見守る中、完全武装した二人の騎士は馬上で向き合います。 そして、戦いは始まりました。 |
騎士たちは激突します。 フロロの槍は逸れ、アーサーの槍は相手の盾を真っ直ぐに捕らえました。 フロロは馬の後方へと叩き落とされ、立ち上がろうとしているところにアーサーの馬が突進してきます。 無我夢中で突き出した槍は、アーサーの馬を深々と捉えました。 |
ブリテン人は、彼らの王が地面に倒れたのを見て、一斉にフロロに襲いかかろうとします。 それをアーサーは一喝して止めました。 一騎打ちの約束を守り、誰一人として加勢してはいけないと。 徒歩となった二人の騎士。アーサーはエクスカリバーを抜き放ちます。 |
対するフロロもまた、人間離れした強さの持ち主でした。 剣の一撃がアーサーを捉え、兜が割れ、その下の鎖帷子まで裂かれ、鮮血が飛び散ります。 が、アーサーは辛うじて踏みとどまりました。 アーサーは流れる血を見て、邪悪ささえ思わせるほど猛ったのです。 |
怒りに満ちたアーサーはエクスカリバーを高々と掲げ、全力でフロロを打ちます。 これほどの一撃に持ちこたえられる鎧など、どこにもないことでしょう。 フロロは頭に致命傷を受け、その場に倒れ、やがて死にました。 アーサーの陣営から歓声が上がります。 |
こうしてパリを制圧したアーサーは軍隊を分け、片方を甥のホーエルに託しました。 彼は次々にフランスの各地を陥落させ、ポワトゥー領主ギタードとの戦いが始まります。 一進一退の末、ギタードはアーサーの偉大さを認め、ホーエルに降伏したのでした。 |
他の都市も次々に落ち、フランス全土はアーサーのものとなりました。 そして、彼は9年に渡りこの地を統治したのでした。 圧政を敷く地方領主を糾弾し、罪人を厳しく罰し、その統治は立派なものでした。 その年の復活祭、アーサーは功労者に褒美を与えました。 |
執事長のケイにはアンジューとアンジェを。 酌持ちのベディヴェアにはノルマンディーを。 ホルデンにはブローニュを、その従兄弟ボレルにはルマンを。 こうして、アーサーは彼のために戦ったすべての者に、名誉と金貨、そして領土を与えることで報いたのでした。 |
◆71-75
フランスで9年間を過ごしたアーサーはブリテンへと凱旋しました。 ブリテン島では長い間留守を守っていた人々が喜びの声を上げて歓迎します。 彼らは、いったいどうしてこんなに長く留守にしたのかと問い、帰ってきた者達は自らの冒険を語って聞かせるのでした。 |
北の王国に続いてフランスを征服したアーサーは、ブリテンだけでなくそれらの国々の王となったことで、改めて戴冠式を行うことにしました。 舞台はカーリアン市です。 ここは信仰厚く、かのローマ帝国すら凌ぐほどに美しい宮殿が立ち並ぶ、夢の様な都なのです。 |
アーサーは手紙を送り、参加を呼びかけます。 すると、ブリテン中から国王や君主たちが集まってきました。 二人の司教、聖デュブリシウスと聖サンプソンの姿もあります。 外国からも、フランスはもちろん、遠い島々からも君主たちは続々とやってきます。 |
この日、すべての国の宮廷から国王や王子の姿が消えたと言われています。 一人残らずアーサーのもとへとやってきたのでした。 あるものは偉大な王の姿をひと目見ようと。あるものは贈り物を期待して。 そして、カーリアン市のあらゆる家が饗宴のために美しく飾りられたのでした。 |
◆76-80
大司教たちに導かれたアーサー王は聖アーロン教会へ向かいます。 同じとき、やはり聖職者たちに導かれたグウェネヴァーは聖ジュリアス教会へと向かっていました。 ミサが始まると、人々はどちらの様子も見逃すまいと、二つの教会を行ったり来たりするのでした。 |
ミサが終わるとグウェネヴァーはアーサー王の待つ教会へと赴きました。 そこでアーサー王は新しい冠を頭に載せ、また王妃の頭にも彼女のための冠を載せます。 こうしてアーサーはブリテン、フランスおよび北の国々の王として、神々の名のもとに認められたのでした。 |
戴冠を終えたアーサー王は宮廷へと戻り、宴が始まります。 彼の宴の場には男性しか立ち入りは許されず、同じように、王妃の宴の場には女性の姿しかありません。 執事長ケイがアーサー王の皿を、酌取りベディヴェアはワインの注がれた金のカップを運んでいました。 |
この日、宴のあまりの素晴らしさのためか、イングランドの地には世界中のすべての花が咲き誇っていたそうです。 食事を終えたアーサー王は騎士たちとともに周囲を見て回ります。 騎馬戦に槍投げ、音楽に曲芸、更には博打に興じて衣服を失った男までいました。 |
◆81-85
幾日か続いた宴の後、アーサー王は領主や聖職者の任命を行いました。 他国の王や騎士たちにも、富を分け与えることで報います。 遠く離れた国の王たちには武勲をあげる機会がありませんでしたが、彼らが堂々と国に帰れるよう、多くの富を与えて持ち帰らせたのでした。 |
饗宴が終わりに近づいたそのとき、招かれざる客が現れました。 十二人の老人からなる一団はローマ帝国の使者を名乗り、ローマ皇帝ルシウスからの伝言を預かってきたと言います。 彼らの口から語られたそれは、宴に沸いていた王や騎士たちを驚愕させました。 |
彼らによれば、アーサー王はジュリアス・シーザーの決めた法に背き、皇帝への貢物を納めず、またローマの領土であるフランスを侵略したとのことでした。 今すぐローマに赴いて罪を認めなければ、ローマの軍団がアーサー王を捕らえるためにブリテンに攻めてくるそうです。 |
アーサーたちは巨人の塔と呼ばれる会議場に向かいました。 カドール伯爵は若い騎士たちが平和や女性に酔いしれたからローマ帝国に付け込まれたのだと嘆きます。 一方、若き騎士ガウェインは、甘美な女性や戦いで勝ち取る平和がいかに若者を奮い立たせるかを説きます。 |
アーサー王は彼らを前に話しました。 シーザーがブリテンを征服する前に、ブリテンもまたローマを征服したことがあると。 彼らの言い分が通るのなら、アーサーにもローマ帝国を支配する権利があることになります。 かくなる上は、戦いで決着を付けるべきではないかと。 |
◆86-90
アーサー王の主張に騎士たちは一人残らず賛同します。 そして、使者たちにその旨を託してローマへと帰らせました。 それを受け取った皇帝ルシウスは、ただちに戦いの準備を始めます。 帝国に属する国々はもちろん異教の民までかき集め、ローマに向けて出発しました。 |
アーサー王も、騎士たちをはじめ戦いの準備を着々と整えていきます。 しかし、一つだけ過ちがあったのです。 アーサー王がローマ帝国に向けて出発する際、残された王妃やブリテンを守るようにと、自分の代理に一人の騎士を任命しました。 騎士の名はモルドレッドです。 |
◆91-95
アーサーの甥であるモルドレッドは、胸の内に王妃グウェネヴァーへの想いを秘めていました。 それが、王妃と国を託されたことで、抑えられなくなってしまったのです。 そしてあろうことか、グウェネヴァーもまた、モルドレッドの甘い囁きに耳を貸してしまったのでした。 |
ブリテンを出発したアーサーたちがフランスに近づいた頃、船の中でアーサーは夢を見ました。 光り輝く竜と醜悪な熊が激しく争い、竜が勝利するといった夢です。 聖職者に聞いてみたところ、竜はアーサー王自身を示し、熊はいずれ戦うことになる巨人とのことでした。 |
フランスに上陸したとき、アーサーは甥のホーエルが嘆き悲しんでいるのを目にしました。 彼が言うには、この辺りはスペインから来た巨人の襲撃を受けており、彼の姪であるヘレンが連れ去られたとのことです。 アーサーはケイとベディヴェアのみを連れて出発しました。 |
巨人の住む聖ミカエル山には二つの峰があり、潮が満ちるとそれぞれが島になってしまいます。 偵察を命じられたベディヴェアは小舟で大きい方の山に近づき、登っていきました。 山頂では老婆が泣き崩れており、ヘレンの身に起きた悲劇を語りました。 |
ヘレンが狼藉の末に殺されてしまったことを知ったベディヴェアは、すぐに山を降りてアーサー王に報告しました。 アーサー王が二人を連れて山に登ると巨人の姿が目に入ります。 二人には隠れているようにと伝え、エクスカリバーを手に巨人の元へと進み出ました。 |
戦いが始まりました。 巨人の棍棒がアーサーの盾を砕き、アーサーも斬りつけます。 傷を負った巨人は怒り狂いアーサーを押し潰そうとします。 何とか抜け出したアーサーは冷静かつ素早く巨人の攻撃を躱し、次々に斬りつけました。 そしてついに巨人の頭を貫いたのです。 |
◆96-100
巨人の首を持って凱旋したアーサーを皆は褒め称えましたが、殺されたヘレンは帰ってきません。 嘆き悲しんだホーエルは、彼女のために小さい方の島の頂に教会を建てました。 その島は、今ではトンブレーヌ(エレンの墓)島と呼ばれています。 |
いよいよローマ軍との決戦が迫ってきました。 それぞれフランスのオータン市の近くで陣を張り、アーサーはローマ軍に使者を送りました。 選ばれたのはゲーリン、ボゾ、ガウェインの三人です。 宣戦布告の言葉を預かった彼らは、ローマ軍の陣へと入っていきました。 |
皇帝の前に進み出た三人は宣戦布告の言葉を述べました。 しかし、その後にガウェインはアーサー王からの伝言だけでなく、自らの言葉で戦いを挑みました。 そして、ブリテンを愚弄した相手の騎士の首を撥ねてしまったのです。 彼らは馬に飛び乗り、駆け出しました。 |
使者を追ってローマ軍も走り出します。 三人は追われつつも応戦し、追いついてきた騎士を次々に倒していきますが、敵の数が多すぎ、逃げるしかありません。 その時、正面から味方の軍団がやってくるのが見えました。 アーサー王にはこうなることが分かっていたのです。 |
◆101-105
戦いが始まりました。 三人の使者を捕まえるつもりだったローマ軍は、突然現れたブリテン軍の前に手も足も出ません。 優勢に見えた戦いでしたが、しかし次第に覆されつつありました。 ローマの司令官ペレデュールは戦が上手く、攻め時と引き際を見極めていたのです。 |
あの男を放っておいたら負けてしまう。 そう考えたボゾは、仲間と共にこっそりとペレデュールに近づき、一斉に襲いかかりました。 乱戦に巻き込まれたペレデュールですが、彼もまた獅子奮迅の戦いを見せ、簡単には倒れません。 戦いは馬上での取っ組み合いになりました。 |
ボゾはペレデュールの首を掴み、共に地面に身を投げ出しました。 そこへゲーリンやガウェインも集まってきて、ついにペレデュールは捕虜の身となったのです。 彼らはアーサー王にペレデュールを手土産として引き渡し、アーサーは彼をパリへと護送するのでした。 |
ペレデュールを護送するとの情報はローマ軍にも伝わっていました。 ローマ軍は待ち伏せをして、護送隊に襲いかかります。 油断していたブリテン軍は、幾人かの高名な騎士を倒され、あわや敗走の憂き目に遭いますが、援軍が間に合い、どうにかこれを守り抜きました。 |
ペレデュールの救出が困難であるとの報告を受けた皇帝ルシウスは、戦いを挑んだことを後悔しますが、もう後戻りはできません。 側面から攻撃すればオータンを落とせるかも知れない。そう考えて軍を動かしました。 しかし、その動きにアーサー王も気づいていたのです。 |
◆106-110
アーサー王はローマ軍の進路にあたるスイソン谷に軍を展開し、更に周囲の森に伏兵を配置しました。 戦いの準備が終わると、アーサーは騎士たちを前にこれまでの戦いの感謝を述べ、更なる戦いへの決意を述べます。 スイソン谷は割れんばかりの歓声に包まれました。 |
決戦が始まります。 激しい戦いの中で次々に騎士たちは命を落としていきます。 アーサーの酌取りベディヴェアもメディア王ボークスとの一騎打ちの果てに、その親友でもある執事長ケイは彼の亡骸を守るために身を挺して庇い、背中に無数の傷を受けて命を落としました。 |
一旦は優勢に傾いたローマ軍ですが、ガウェインとホーエルの凄まじい戦いにより押し返されていきます。 そんな中、ガウェインはついに皇帝ルシウスの姿を捉え、一騎打ちを挑みます。 勝負は拮抗しますが、しかしなだれ込んだローマ軍によって中断されてしまいました。 |
◆111-115
ガウェインとホーエルを残して逃げ出すブリテン人の中、たった一人彼らの元へと向かう騎士がいました。 アーサー王です。アーサーは逃げ出す者たちに勇気を奮い立たせるよう鼓舞し、エクスカリバーでローマ人を蹴散らして突き進み、ガウェインたちを助け出しました。 |
戦いは拮抗し、双方多数の死者を出しつつ一進一退を繰り返します。 しかし、優勢になったローマ軍が森の近くでブリテン軍を追い詰めていったそのとき、森の中に配置されていた伏兵たちが参戦しました。 これが決定打となって、ローマ軍は敗走を始めたのです。 |
スイソン谷は騎士たちの血で川が流れているようでした。 アーサーとルシウスの対決は叶わず、皇帝は討ち死にしているのが見つかりました。 アーサーは彼の亡骸を丁寧に弔い、棺をローマへと送ったのでした。 そして、死んでいった騎士たちの亡骸も故郷へと送りました。 |
その年の冬をフランスで過ごし、夏が訪れた頃、アーサーはいよいよローマ帝国へと乗り込み皇帝を名乗る決意をします。 しかし、それはブリテンからの報せによって遮られました。 モルドレッドが王を名乗っていること、グウェネヴァーを娶ったことが伝えられたのです。 |
◆116-120
アーサーはフランスをホーエルに託し、ブリテンへと引き返します。 モルドレッドはかつてアーサーに敗れたサクソン人と取引して、凄まじい数の軍勢を揃えました。 動きはモルドレッドのほうが速く、アーサー軍が岸に近づいたときには迎え撃つ準備を整えていたのです。 |
アーサー王の騎士たちが上陸しようとするのを、陸の上からの一方的な攻撃で阻止するモルドレッド軍。 そんな中、二人の騎士がその身に無数の矢を受けながら道を切り開きます。 ガウェインとアギゼルです。 彼らは自分の命と引き換えに、騎士たちを上陸させたのでした。 |
一旦上陸したら、アーサーの軍団を止めることが出来るものはいません。 逃げ出したモルドレッドはロンドンに向かいますが、真の王が帰還を果たした今、モルドレッドのためにロンドンは門を開けません。 彼はウィンチェスターに潜り込み、人質をとって立てこもりました。 |
ウィンチェスターを包囲したアーサーに、モルドレッドは異教徒たちをけしかけます。 しかし彼らに勝ち目はなく、モルドレッドは仲間を見捨てて再び逃げ出しました。 彼はなんとか船を手に入れてコーンウォールへと落ち延びました。 |
モルドレッドの敗走を知ったグウェネヴァーは、自らの過ちを後悔しました。 彼女はカーリアンの修道院へと赴きました。 一人の修道女として、ここに永遠にその身を封印することを決めたのです。 それ以来、彼女の姿を見た者も声を聞いた者も、誰一人いませんでした。 |
もはや味方はいないと思われたモルドレッドですが、サクソン人の他にデーン人やローマとの戦いで逃げ延びたサラセン人など、数多くの異教徒が集まってきたのです。 そして、彼を追うアーサー王もまた海路を経て迫ってきます。 モルドレッドは覚悟を決めました。 |
戦いの舞台となったのはカメル川の堤でした。 ここで、最後の戦いが始まりました。 数え切れないほどの騎士たちが死に、勝者も敗者も命を落としました。 モルドレッドも、そして、アーサー王もまた、この戦いで散ったのでした。 |
深手を負ったアーサー王はアヴァロン島で傷を癒やすことを望み、船に乗ったと言われています。 彼はまだ生きており、いつの日かアヴァロン島から帰還を果たすと信じられています。 それは、キリスト降誕より六四二年目のことでした。 |
彼は自分が帰ってくるまでブリテンの統治を若き騎士コンスタンティンに託しました。 コンスタンティンはこの命令を忠実に守り、アーサー王の帰りを待ちました。 しかし、アーサー王は帰ってきませんでした。 |
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プロフィール
HN:
凪茶(ニャギ茶)
性別:
男性
職業:
くたばり損ないの猫
趣味:
ドイツとイギリス
自己紹介:
ドイツ・イギリスを中心に中世ヨーロッパの生活習慣、民俗学などを勉強しています。
最近はブリュ物語の翻訳ばかりやってます。
最近はブリュ物語の翻訳ばかりやってます。
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