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中世ヨーロッパ史に関する個人的覚書
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3回目です。
今日は童話に登場する動物に関する話でした。
狐:ずる賢い
狼:怖い
クマ:強いけど間抜け
うさぎ:か弱い
鼠:弱い、憶病
猫:強くはないが、すばしこく、ずる賢くもある

狼がさんざん悪者として登場するが、狼の被害は(他の害獣に比べて)それほど多くはなく、かなり濡れ衣的な扱いだった……というのが大きな内容でした。

確かに、実際の被害に比例して扱いが変化するのなら、ペストをばら撒いて欧州の2/3を壊滅させた鼠に至っては、死神や悪魔そのものとして扱われなければ辻褄があわないことになります。
では、なぜ狼だけがここまで悪者として登場するのでしょうか。
講義では人狼が引き合いに出されましたが、阿部謹也によれば実際の人狼(人間狼)とは、街を追放された犯罪者だったとのことです。
追放された犯罪者が街の付近を徘徊する様子が、狼のイメージと被ったと言うのは、実にありそうな話に思えます。
では、しかし、狼は果たして「人狼(=犯罪者)と並べられるような頻度」で街の近くを徘徊していたのでしょうか?
これを考えると、NOのような気がしてなりません。何故なら、そこまで人間の近くに狼が頻出していたのであれば、やはり狼に寄る被害がそれなりに多かったと思われるからです。
統計的に狼による被害が少なかったとなれば、「狼に似ていて、かつ人間の近くに居るもの」がその正体ではないでしょうか?
すばり、野良犬がそのシルエットや遠吠えなどから「狼だ」と誤解されていたと言うのが真相ではないかと想像します。

少し話がずれますが、ヨーロッパの各地に伝わる狼男伝説に関して。
狼男の特徴のうち「正気を失い凶暴化する」、「狼男に噛まれた者は狼男になる(=唾液や血液で感染する)」、「水を渡れない(=水を怖がる)」この決定的な症状から、私は(怪物としての)狼男とは、ほぼ間違いなく狂犬病の患者だと考えております。
これが正しいと仮定して、前述した話「狼だと思われていたのは、実はほとんど野良犬だったのでは?説」に絡めると……

野良犬が噛み付く→狂犬病発症→「狼男だ!近くに狼がいるぞ!」→ワオーン→「狼だ!」

「野良犬の近くには狼男も出没しやすい」と言う構図が完成し、一本のラインが見えてくるような気がします。
これに加え、犯罪者に対する恐怖感などが手伝い、狼はどんどん悪役へと変貌していったのではないでしょうか。
「当時のヨーロッパに狼に似た犬種(それも原種に近いプリミティブ・ドッグ)が存在したか」と言う点が気になるところです。
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